建設会社の原価計算②【福岡・税理士】
税理士の高島です。
建設会社で原価の見積りをしていないという
会社はないと思います。
それなのに、工事を受注して
蓋を開けてみると「赤字だった」という
ことがよくあります。
これに理由がいくつかあるということを
前回触れさせていただきました。
今回は、『原材料費や外注費が高騰していた』という
ケースに触れたいと思います。
リーマンショック直後は建設業界は不況でしたが、
東京オリンピックに向けて、建築業界は
好景気になりました。
また、人材不足による労務費の高騰など
原材料費や外注費が高くなっています。
これによって、以前であれば原価率が○○%で
できると思って受注をしたが、
下請けから見積りをとると予想以上に原価が
かかっているというケースがあります。
この場合の対処法はいくつかあります。
①外注費や原価については、見積りをしっかりととり、
適正価格を見極める。
建設業界は元請会社、第一次下請け、第二次下請けというように
工事を全部自社でするのではなく、下請けに外注することになります。
このため、中間でマージンみたいなものが多い業界です。
原価に利益がどんどん乗って、価格が増えているという部分もあります。
当然、元請企業から下請け企業に外注するばあには、下請け企業も
経営ですから、自社の利益も確保したところで見積りを出します。
いっぱいいっぱいの数字と、利益を多くしたところでの数字と
見極める必要があるのです。
当然に、金額だけでない部分はありますが、適正価格を出さなければいけません。
元請企業も競争社会で戦っています。
価格にシビアな企業しか生き残っていけないのです。
下請事業を多くになっている会社は、下請への要求がこれから強くなっていく
でしょう。価格競争に巻き込まれないための自社独自の強みを出して
価格決定権を持てるように努力しましょう。
それでも足りない場合には、自社が元請になるように営業力を磨く必要が
あります。
②受注金額の交渉をする。
工事の受注時には、想定されていなかった費用が生じてくる
時があります。下請け企業はこの費用についても当然に請求してきます。
①で述べた価格交渉を行ったとしても難しい場合があるでしょう。
その場合には、発注先に対しそのことを早めに説明し、追加金額が
請求できないかの交渉をする必要があります。
「そんなことはできない」と思われる社長さんもいらっしゃると
思いますが、受注金額が変わらず、原価が増える場合には自社の利益
がなくなっていまします。
追加が取れないのであれば、工事の受注を断るくらいの覚悟をもって
望まなければいけないこともあるのです。
また受注時についても追加については請求することを説明しておく
必要があります。
見積書、工事請負契約書や工事注文書などの書類をしっかりと
整備しておきましょう。
このような書類をしっかりと整備して、営業マン任せにしたいこと
が非常に重要になります。
令和2年6月21日 税理士 高島聖也